2024,4,26第二句会

 

「蜃気楼」

蜃気楼うつれりくらき水の上     志賀えぷり

をととひはきのうのけふの海市かな  二上貴夫

実像はガラスの中の蜃気楼      竹村半掃

蜃気楼ふるさと遠くなりにけり    田中走馬

アルバムに吾子みてニヤリ蜃気楼   木村一帰

蜃気楼先はリアルな能登の海     鈴呂屋こやん

うたた寝のあと僅かなる蜃気楼    沼田典子

羽衣や夢か現か蜃気楼        小泉よう

 

「猫の子」

紙袋の駄菓子のような仔猫来る    竹村半掃

いずれかに買われていくやこの子猫  田中走馬

足先を子猫に預け長電話       沼田典子

猫の子を咥えた親よひた走る     鈴呂屋こやん

危を知るや親は子猫を振り時計    小泉よう

騒の果て親猫子猫眠りけり      二上貴夫

猫の子や尾振らずジャレて恋をして  木村一帰

 

「雑詠」

父の居たこぼれ話や春日差し     沼田典子

ようという少女の夢に燕来る     二上貴夫

スマホよりこぼるる朝の花便り    田中走馬

花便り胸ざわめきて三分咲き     木村一帰

枝垂れたる桜に墓は沈黙す      鈴呂屋こやん

花筏丹沢山の裾模様         小泉よう

河鹿鳴く山彦ふかく吸いこまれ    志賀えぷり

河鹿鳴く川瀬に住みて雌を呼ぶ    志賀えぷり

二等辺三角形なる四月尽く      竹村半掃