2024,3,12第三句会

 

「燕」

新築のごあいさつとや初燕      竹村半掃

初燕部活終りはコンビニで      福島浪日子

検診の結果良好燕来る        内野廣子

不意に知る友の消息燕来る      竹中しづり

燕来るブラックマターに棹さして   藤間満天星

ツバメ飛ぶ鉄と石との生態系     鈴呂屋こやん

つばくろの低空飛行で種まきし    海内七海

駅通路「燕の巣注意」のコーン立つ  宮本純代

 

「レタス」

レタスの香昔むかしの伯父の顔    宮本純代

レタス食ぶ生前葬のほろにがさ    藤間満天星

ひとひらのレタスの水を食みにけり  細谷朋々

サンライズレタスツヤツヤケセラセラ 柏瀬一泻

シャキシャキを命と訳すレタスかな  内野廣子

レタス剥く乱数表を解くに似て    竹村半掃

レタス剥く中に真実あるかもと    小巻この葉

スポンジは土を知らないレタスかな  鈴呂屋こやん

玉萵苣結球前に鳥のエサ       海内七海

 

「雑詠」

春寒や我楽苦多市の解剖図      竹村半掃

唐突に耳元近き初音かな       内野廣子

山に木に生きる力よ百千鳥      細谷朋々

残り雪五百羅漢のささめごと     藤間満天星

春の雪サバンナを恋ふダチョウの目  宮本純代

三月の峠に残る雪だるま       細谷朋々

春手袋はずし風に触れてみる     小巻この葉

無造作にものの芽を踏む烏骨鶏    海内七海

SМILEですみれ襲の衣着る    福島浪日子

三人目お産の軽し菫つむ       海内七海

瓦礫より蒲公英スミレ雪割草     竹村半掃

たんぽたんぽぽ老いは幼を追ひかけて 竹中しづり

ふさふさの葉もたおやかに春大根   鈴呂屋こやん

諸葛菜小さき中州に陣をしき     藤間満天星

いつかまた独活の天ぷら頂きに    福島浪日子

末黒野や親子で食らふにぎりめし   海内七海

怒号さえなつかしくなる法蓮草    柏瀬一泻

目を閉じて聞く香もをかし枝垂梅   柏瀬一泻

人生に華どきあらむ更紗木瓜     竹中しづり

花ミモザ空にも地にも奔放に     宮本純代

山笑うお喋り上手十指かな      内野廣子

春日のひよこは鈴のやうに鳴く    細谷朋々

長閑さや女ばかりのカフェテラス   小巻この葉

相槌を上手く蛙の目借り時      福島浪日子

江ノ電のお座敷バスで春うらら    柏瀬一泻

信号を待つてゐる間の朧かな     小巻この葉

春おぼろ生者のゐない自画像展    竹村半掃

春愁をかしこで結ぶ小町の忌     竹中しづり

忘れるな三一〇の春花火       鈴呂屋こやん

朧夜に加藤登紀子のコンサート    小巻この葉

捨てられし兎見上ぐる春の月     宮本純代

濃紺の新しき屋根春の空       内野廣子

プレートは知らない家族花の幹    鈴呂屋こやん

エイプリルフールな君と僕なんだ   福島浪日子

預かりの猫返しなば朝寝する     竹中しづり

鳥帰る微熱の風に吐息して      藤間満天星

雲に色のこして山の春暮かな     細谷朋々