2024,1,28第一句会

 

「餅あわい」

戦後っ子ほくほく芋の餅あわひ    竹村半掃

餅間にウーバーイーツめくばせす   立石采佳

餅あいや三十分で届くピザ      佐藤和子

天地神厄払いてか餅あわい      吉田榮治

歳時記に今昔ありぬ餅あわい     後藤文彦

餅あはひ賞味期限に右往左往     藤間満天星

餅間言っては居れぬ瓦解の地     酒井天敏

テレビのみ空しく灯る餅あわい    鈴呂屋こやん

餅あわいフランスパンにバター塗り  植田忠克

あきらかになりし惨状餅あはひ    岡本保

マヨネーズケチャップソース餅間   二上貴夫

餅わい昨日の続き生かされし     大石繁子

 

「初句会」

ビギナーズラックたまはる初句会   岡本保

究極の言葉は夢か初句会       鈴呂屋こやん

短冊の字や黒々と初句会       植田忠克

十二個の茶菓子抱へし初句会     立石采佳

初句会平和に「ルビ」がふってある  竹村半掃

初句会時空の波に船出する      藤間満天星

初句座や新入の人ほめられて     二上貴夫

初句会上座に御座る生き字引     酒井天敏

初句会微醺の吾の声や好       後藤文彦

初句会九十六歳の新入生       佐藤和子

推す敲く頭を叩き初句会       大石繫子

 

「雑詠」

初年にドラゴン火吐く能登の海    吉田榮治

須賀宮の式部代書の懸想文      後藤文彦

小正月素数となりてひとり酒     竹村半掃

竜の玉箒の先で見つけをり      佐藤和子

柚子湯して卒寿白寿のケセラセラ   藤間満天星

補聴器の藪に捉へし初音かな     酒井天敏

能登地震聞いて元日暮れにけり    植田忠克

蝋梅や琥珀は虫の眠れるを      鈴呂屋こやん

江ノ島沖釣舟漁船すれ違ふ      二上貴夫

日脚伸ぶ化石探しに三越へ      岡本保

政治屋の嘘鷽替不要なり       大石繫子

保留からすぐ小声にて実南天     立石采佳