2024,2,13第三句会

 

「霾、黄砂」

つちふるや波のまにまに平和の帆   柏瀬一泻

霾や嘘垂れ流其処彼処        福島浪日子

つちふるや甲骨文字を振る舞はれ   藤間満天星

よなぐもり空き家増えたり町内に   竹中しづり

霾や地球は一つ思い知る       内野廣子

黄砂ふる軋むとびらや観音堂     宮本純代

つちふるや敵に味方におもかげに   細谷朋々

空海の学びし國の黄砂来る      竹村半掃

つちふるや鎌倉の空ただならず    鈴呂屋こやん

きのふとは違うこの町胡砂来る    小巻この葉

 

「バレンタイン」

あれあげようバレンタインの三ノ塔  鈴呂屋こやん

生きてさえいればいいことバレンタインの日 竹村半掃

バレンタインデー焦がして鍋磨きあぐ 海内七湖

バレンタイン中身の無い事わかってる 福島浪日子

バレンタインの日夫にはビターチョコ 宮本純代

メビウスの帯も緘じしバレンタインデー 藤間満天星

仏壇のはなやぎバレンタインデー   細谷朋々

あなうれしバレンタインのはちみちチャイ 柏瀬一泻

 

「雑詠」

吾子連れてそよ風連れて菊冬至    海内七湖

着ぶくれて移動スーパー賑わいし   内野廣子

銀竹のペンシルビルの四次元郷    藤間満天星

雪深し手柄話や大あくび       内野廣子

寒中やムシヤシナイの熱き蕎麦    内野廣子

朽野や火照る地球の無音音      藤間満天星

いさかいも過ぎれば葱の辛さかな   柏瀬一泻

万両にただ一心の平和かな      柏瀬一泻

丁寧に箸を揃へる春あした      細谷朋々

長らうや遠い光と霞む影       鈴呂屋こやん

霞んでも瀬戸大橋のレモン島     海内七湖

野にひとり繁蔞ひらいて閉づひと日  細谷朋々

二日目のおでんの味しむ牡丹雪    宮本純代

キーボード打つ音響く春雪や     宮本純代

足早に猫横切るや春の雪       宮本純代

雪降ろす瓦礫の下のぬいぐるみ    竹村半掃

ローソンで買ふピカピカの春財布   竹村半掃

裏道を駆ける足音寒の明け      竹中しづり

白椿ぽとりと落ちてぽろりと本音   小巻この葉

自堕落で重ねに浅き春空け      福島浪日子

日脚伸ぶ螺鈿の座卓呼吸する     竹中しづり

日永くなるとき猫ひま持て余し    小巻この葉

ブラックのコーヒー二杯日脚伸ぶ   小巻この葉

枝垂梅かまぼこの里覆いけり     柏瀬一泻

口喧嘩いつの間にやら梅ふふむ    福島浪日子

藪椿あなたとゐると自然体      竹中しづり

相模湖の公魚釣りやレシピ本     海内七湖

海のもの山のものよと春の膳     内野廣子

ポップコーンの香りはじける春の路地 竹村半掃

折紙のお守り児より桃の花      竹中しづり

どうどうと花盗人に我はなり     海内七湖

うららかや弥勒菩薩の眉細く     小巻この葉

陽炎や龍のあらぶる磁気嵐      藤間満天星

産卵の蛙の声や水ひらり       細谷朋々

見破られ春の夢とすりゃつごうよし  福島浪日子