2024,2,25第一句会

 

「霾、黄砂」

つちふるや周恩来の死を悼み     後藤文彦

黄砂去る金権政治の猿芝居      大石繁子

転変の昭和の歴史黄砂降る      岡本保

霾るや碑文を罅の遡る        酒井天敏

残響よつちふる街の在りし日々    鈴呂屋こやん

胡沙来るときに神風あればなむ    二上貴夫

春塵にサーカスのジンタ流れけり   植田忠克

茜雲偏西風に黄砂乗せ        吉田榮治

野仏の肩なだらかに黄砂かな     佐藤和子

しばらくは室内干しに黄砂降る    立石采佳

 

「バレンタイン」

バレンタイン透明人間の群れに       鈴呂屋こやん

バレンタインデーカタカナあふる日本かな  岡本保

バレンタインデー贈る相手はローマの地   吉田榮治

バレンタインの手作りチョコに初挑戦    立石采佳

バレンタインデー自分で買ってるチョコ苦し 大石繁子

ばれんたいんでいホワイトデーの姉の顔   二上貴夫

バレンタインデーきらきら渋谷の交差点   酒井天敏

バレンタインチョコカラオケの仲間より   植田忠克

義理もありバレンタインデーという日かな  佐藤和子

妻からのバレンタインの日の悪戯      後藤文彦

 

「雑詠」

水温む鯉の水面に見えにけり     植田忠克

石畳傘を斜めに冬牡丹        吉田榮治

春の野は名画に勝る香りあり     大石繫子

漆黒の中の光や雨の梅        鈴呂屋こやん

否認さる顔認証や冴返る       岡本保

ゴミ処理の煙ますぐや蓬摘む     立石采佳

陽春やひとつの石に亀五匹      佐藤和子

水温む空気は丸く球のやう      二上貴夫

梅真白小沢征爾の訃報の日      後藤文彦

春動く人智及ばぬ所から       酒井天敏