2024,1,9第三句会

 

「餅あわい」

誰も来ず出かけもせずに餅あはひ  小巻この葉

日常の有り難きことよ餅あわい   鈴呂屋こやん

餅あわいエリーゼのために流れくる 内野廣子

餅あはひ時空やわらぐ賞味期限   藤間満天星

餅間Z世代はコンビニへ      海内七湖

餅あわひ覗く心のあわひかな    柏瀬一泻

餅あいの幼のちぎるサラダかな   竹中しづり

餅あはひ空白にある虚と実     竹村半掃

 

「初句会」

採りたてを揚げて茶受けに初句会  藤間満天星

初句会案ずることの多き年     福島浪日子

人の難言うまいぞ今日初句会    鈴呂屋こやん

雑の句と恋句をもちて初運座    竹村半掃

初句会二重らせんの江戸令和    柏瀬一泻

初句会終われば清し川の音     内野廣子

大地震のあとの静粛初句会     細谷朋々

 

「雑詠」

嫁が君着の身着のままうちのママ  福島浪日子

うまかけん食べてみんねと牡丹鍋  竹中しづり

ふうわりと無宿渡世の女正月    柏瀬一泻

こころもち浮力にまかす冬帽子   竹村半掃

富士山や散歩コースの去年今年   内野廣子

屠蘇散や従兄弟の子らの大人びて  小巻この葉

福引は昔廻して今AI        海内七湖

今日の糧求める列や初日出づ    細谷朋々

年明けて湯煙りの里裂けにけり   柏瀬一泻

山茶花や罪なき人だね無頓着    竹中しづり

初富士の白雲なづみたまかぎる   藤間満天星

百世経し廃墟のうずく冬銀河    藤間満天星

蝉氷そろり跨いで遅刻せり     海内七湖

被災地の神に合はす手初参り    細谷朋々

三の糸ピーンと張って初稽古    小巻この葉

初夢は同級生とありし顔      福島浪日子

折り紙の舟をシーツに初凪す    竹中しづり

去年今年大きな荷物置きわすれ   小巻この葉

新潟の干柿食ふて年迎へ      海内七湖

無駄のない火葬の手際寒の空    細谷朋々

幼児の紡ぐ言の葉龍の玉      竹中しづり

一%湯湯婆の年明ける       竹村半掃

春永に有難きかな食うて寝る    福島浪日子

七種やオーバードーズのこの身体  福島浪日子

実千両三つこぼれて盆の上     小巻この葉

珈琲の香り嬉しき初茜       柏瀬一泻

ふる年の札も旅路や道祖神     鈴呂屋こやん

日暮れまで好きなことだけ四日かな 内野廣子

初日の出出汁の香りと墨汁の香   海内七湖

その日まで老いの生長初日記    細谷朋々

柚子湯して卒寿白寿のケセラセラ  藤間満天星