2024,12,10第三句会

 

「ポインセチア」

朝蒲団温くて窓辺のポインセチア    福島浪日子

雨の窓ポインセチアや理髪店      内野廣子

商店街古りポインセチア紅し      細谷朋々

ポインセチア二つ並べて古希祝う    海内七海

ポインセチア八十路の友のフラダンス  竹中しづり

みどり児の萌える知恵熱ポインセチア  藤間満天星

身ほとりの清しく整ひポインセチア   宮本きなこ

ポインセチア独り居の夜の華となる   小巻この葉

帰宅待つポインセチアの闇を染む    鈴呂屋こやん

けふ明日の間にポインセチアの夜    竹村半掃

 

「狐火」

狐火や穂花のどれも西を指す      竹村半掃

狐火に引かれ松江に遠野かな      藤間満天星

この指の火傷のあとは狐火か      小巻この葉

狐火も時代がかりて戒厳令       柏瀬一泻

狐火や夫と行く道戻る道        海内七海

狐火は今年の駄句の供養かな      鈴呂屋こやん

 

「雑詠」

見上るや物干し台の柿のれん      宮本きなこ

黄落ひとしきりすべるなすべるなよ   柏瀬一泻

からからと真夜を転がる冬落葉     竹中しづり

朝晴れて銀杏落葉の海をなす      鈴呂屋こやん

いつになく遠い朝日や霜野原      鈴呂屋こやん

葉脈の青々として枯きれず       内野廣子

大山や保護猫と行く冬紅葉       海内七海

冬うらら畑に猫の耳のぞく       宮本きなこ

うたた寝に今も居るよな炬燵猫     福島浪日子

片隅のペット安置所枯葉ふる      内野廣子

小春日や訃報落葉に無沙汰詫び     小巻この葉

くれなゐの雲の艦隊冬の暮       細谷朋々

銀河より冬帽の父帰りけり       竹村半掃

凍玻璃や重力レンズの双曲線      藤間満天星

真っ二つに割れて無罪や寒玉子     竹村半掃

産土の牡蠣剥く女皆無口        海内七海

かまいたち神の薬のステロイド     竹中しづり

冬晴れの花芽煌めくやバス通り     宮本きなこ

感慨を師走の風に包みけり       柏瀬一泻

説法腹へ落つ十二月八日        細谷朋々

味噌造る発酵分子の脳天気       藤間満天星

山茶花に天真爛漫てふ言葉       竹中しづり

だだっ児の片身に寄るやちゃんちゃんこ 内野廣子

夢此れはいつかのメリークリスマス   福島浪日子

数へ日や磨き上げらる仏たち      小巻この葉

汝も我も右往左往の年の暮       柏瀬一泻