霜柱踏んで軍靴の音よぎる 岡本保
寒椿落ちて空向く自己主張 竹村半掃
凍月の粒子金銀降る夜かな 鈴呂屋こやん
冬の月人間失格半ばなり 立石采佳
背もたれの無き身分なり年明ける 井上蕾兄
寒椿落ちて上向き自己主張 竹村半掃
大欅の精気両手に年惜しむ 村川雅子
三世代参道の黙淑気かな 沼田典乃
山眠るひこうき雲はクロスして 木村一帰
寒月や背後に迫る靴の音 田中走馬
凡庸を通し三代大旦 細谷朋々
おほぜいでいてひとりと思ふ水仙花 小巻この葉
冬の夜や静寂をうめる刺子針 宮本きな子
高層の窓に寒月嵌りけり 内野比呂
無の心で奇数偶数毛糸編む 海内七海